セント・パトリック小学校の校庭で毎週日曜日に行われる子どもたちのサッカー試合。ティカの街で子どもたちの支援を続けるNGO「モヨ・チルドレン・センター」の活動の一コマ。日本人の松下照美(テルミ)が設立したこのNGOは、街の中心部にあるティカ・スタジアムの片隅にある小さな事務所を拠点に、ストリートの子どもたちのケアと孤児院の運営を行っている。突然、子どもの泣き声が響く。近くのスラムに母親と暮らしている10歳の男の子ムトゥリ。シンナーを持っている所をモヨのスタッフに見つかり、取り上げられたのだ。「明日の朝、制服着ておいで。一緒に学校に行ってあげるから。約束よ」突然、まだ涙の残る顔をあげ、鼻水を垂らしながら言う。「今日はまだパンをもらってないよ!」まだあどけなさの残るムトゥリの屈託のない笑顔に、微かな希望が見え隠れする。

豚やニワトリが残飯をあさるごみ捨て場。キャンドゥトゥ・スラムの路地を歩いて、アントニーと母親、そしてテルミの三人は学校に向かっていた。すっかり学校に来なくなったアントニーに先生は尋ねる。「どうして学校に来ない?」「べつに」 何を訪ねられても「べつに」。「この子は家の事なんか、何一つ手伝いません」自分は最善を尽くしてきたと訴えるお母さん。先生は言う「お母さんの努力をお前は踏みにじってるんだぞ」 。もう一切答えようとしないアントニー。


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