朝焼けをバックに、一人の少年が鉄くずを拾いながら街を歩いている。麻袋の中では空き缶が彼の歩みにあわせて鋭い音をたてる。おもむろに少年は鼻歌を歌い出す。「ぼくたちにもきっと、善いことができるはず」

アフリカ東部に位置するケニア共和国。首都ナイロビから北東へ45km、車で1時間ほど行った所に人口10万余の街ティカはある。下町の自動車修理工場から出る鉄くずやプラスチックを集めて回収業者に持ち込むことで、いくばくかの収入を得て生活をする子どもたち。その鉄くずを集める動作から、スワヒリ語で「拾う」を意味する「チョコラ」と人々から呼ばれている。

シンナーに溺れる子も後を断たない。面倒見の良い回収業者のアレックスも時にはあきれ顔でこうつぶやく。「お前が学校で学んだ知恵は、全部シンナーでフイになったな」
そんな状況でも、子どもたちはお互いに助け合いながら生きる。早朝に集めた鉄くずをお金に換えるやいなや、みんなで食堂になだれ込む。「僕の肉をあげるから、ごはん分けてよ」「しまった! ドンゴの分を忘れてた。みんなで少しずつ分けてあげてよ」


Next>>

トップ

協賛:ビートレンド株式会社