航海・採集日誌

◎11月16日 航海日誌 2日目
杉村



「かいこうMk‐lV」:
まるで、○ンダ○のカタパルトデッキのよう?!


調査航海2日目です。
いよいよ、本格的な深海調査が始まります。
本日は、私の所属しているグループの潜航日です。

潜航調査場所は、沖縄トラフ伊平屋北海丘です。
ここは、3年前の航海でも潜航した場所で、水深が約 1,000mの地点です。
朝、少々風が強く船は揺れていましたが AM 9:00には、予定通り無人探査機「かいこう」は沖縄の海の中に消えていきました。

水深 1,000mの海底に着くまでの約 1時間の間には、クシクラゲやクダクラゲの仲間をいくつか見かけることが出来ました。
水深が 700mを超えた辺りからハダカイワシの仲間でしょうか、ぽつり、ぽつりと出会うことも出来ました。

しばらくすると司令室のメインモニターにうっすらと山のようなシルエットと斜面を覆った白い大きな塊が見えてきました。
この海域には巨大なチムニーが 3つ程あり、その一つに到着したようです。
運航長が「ビークル、着底! 水深996」とコールします。

チムニーの斜面を覆っている白い大きな塊は、ゴエモンコシオリエビの大群落です。
群れの中や周辺部には、貝殻が黄色く縁取られたシンカイヒバリガイの仲間やオハラエビの仲間が見え隠れしています。
よく見るとユノハナガニも数個体観ることが出来ました。
熱水噴出孔近くには、別の種類のオハラエビの仲間も群れで集まっています。
この海域のオハラエビは、数種類確認されていて、同じチムニーで生活していながら、その生活場所はちゃんと分かれているところが面白いですね。

巨大なチムニーの先端には、200℃を超える熱水が噴き出して、白く沸騰しています。
このチムニーの中腹を観察していると、所々に軒のように張り出した部分があります。
“フランジ”と呼ばれるもので噴き出した熱水が他のチムニーに当たり、熱水に含まれている海水によって冷やされた金属などが固まって、徐々に外側に張り出して出来ていきます。
フランジの下の部分には熱水が溜まり、ROVのライトに当たって鏡のようにキラキラと輝いて、とても綺麗です。
チムニーのふもと付近には、タラバガニ科の仲間もみられ、何かを物色しているようでした。

沖縄の熱水水噴出域は小笠原の熱水噴出域に比べると、とてもアクティブで生き物も豊富です。
これには、いつみても感動しますね。
深海トリーターの醍醐味といったところでしょうか。
ここ沖縄には、シロウリガイも居るはずなのですが残念ながら今回は発見できず・・・ ですが、チューブワームのなかなか大きな群生地を見ることが出来ました。

久しぶりの沖縄は、やっぱり良いですね!
また、水族館でゴエモンの飼育をすることが出来ます。
今度は、より多くのゴエモンたちが1日でも長く飼育出来るように、そして研究に役立てるように、えのすいの深海チームみんなで頑張りたいです。
水族館へ帰るまでは、まだ 1週間ほどありますが、まずは船の上で頑張ります!

それでは、また明日。


朝の沖縄トラフ: 海しかない・・・




司令室のようす: 結構広いけど寒い・・・



航海・採集日誌トップ
トップ|館内展示エリア|営業時間・料金・交通|ニュース・イベント情報|生物情報|ショー&ふれあいプログラム|体験学習プログラム|お泊りナイトツアー|特典いっぱいのえのすい会員制度|えのすいトリーター日誌|航海・採集日誌|SHOP|えのすいeco|モバイルえのすい情報局

copyright(C)
ENOSHIMA AQUARIUM
All Rights Reserved.