航海・採集日誌

◎4月4日 航海日誌 2日目
杉村



小笠原の海に潜航を始めるハイパードルフィン


今日は調査航海2日目、天候は良し、海上はやや風はあって揺れるものの潜航は可能です。
朝早くから潜航調査の準備が始まっています。

 6:00 潜航準備開始
 7:00 朝食
 7:30 ハイパードルフィン
    の作業確認
 8:00 作業前ミーティング
 8:15 HPDの吊り上げ
 8:20 着水
 8:30 潜航開始

といったスケジュールでハイパードルフィン(HPD)は小笠原の海に消えていきました。

調査地点の水深は約 1,300mで、海底までは 1時間ちょっとの道のり。
海底までの間、HPDのコントロールルームのメインモニターを見ていると、思っていたよりも海中の懸濁物が多く、生き物ではクラゲの仲間に多く出くわしました。
その多くは、長細い姿の管クラゲ類のようでした。
そうこうするうちに予定時間より 10分遅れて、海底に着底です。

着底後、しばらくは泥と岩が続く荒涼とした海底が続き、極まれにイソギンチャクとソコダラの仲間が見えるだけでした。
50年程まで深海に生物は何も棲息していていないといわれていたのがよく分かるような気がしました。

その後、小さな山脈のようなチムニーが見えましたが、それは既に熱水が噴出していない「デッドチムニー」といわれる黒いチムニー群でした。
ん〜、残念。
さらに進むと、白い海底がパッチ状に見え始め、さらにその奥には白く立ち並ぶ熱水の噴出するチムニー群を見ることが出来ました。
熱水にはメタンや硫化水素などが含まれ、それらをエネルギー源とするバクテリアが熱水の噴出するチムニーにまとわりつくように白いマット状のコロニーを形成しているので、活動中のチムニーは白くなっています。
この白いバクテリアマットが調査の目印になります。

白いチムニーをアップで観察すると、熱水噴出口の周辺にはとても小さなウロコムシやゴカイの仲間、少し離れた上にチムニーにはフジツボの仲間にあたるネッスイハナカゴの1種が数多く付着しています。そして、周囲にはシチヨウシンカイのコロニーが形成され、コロニーの隙間には大小のユノハナガニがもぞもぞと動いていました。
先程の荒涼とした海底とは実に対照的です。
熱水噴出域の豊かさを感じました。

今回は、このチムニーに棲息している特に小さな生物たちの調査が目的です。
どのような種類の生物が棲息し、どのような生活をしているのかを調査します。
乗船している研究者の皆さんはHPDに搭載させた最新の機器を駆使して、それぞれの研究を行っています。
研究の内容によっては、潜航後直ぐに揺れる船内で実験を行わなくてはならない事は普通で今日も夜遅くまで、皆さん研究室にこもっています。
私も研究用の生物サンプルの管理の傍らで、乗船中は研究のお手伝いをしています。

今日は特にトラブルもなく、潜航調査を無事終えることが出来て良かったです。
久しぶりに見る小笠原の海底は、とてもアクティブでした。
そして、自然の豊かさや凄さを改めて感じた調査でもありました。
さて、まだまだ船上での実験は続きます。
研究のお手伝いをしつつ、また明日からの調査や実験に備えたいと思います。

少々長くなってしまいましたが、本日の日誌はここまで。
明日も無事潜航出来ることを祈って。
では、また明日。


我々が常に居る第2研究室


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