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 当コラムは、Gスピリッツ編集部・村上けんさくが、己の中に渦巻く四天王LOVEを無差別に発散する“勝手に四天王プロレス再検証企画”である。
 連載プロローグとして、村上記者に熱狂的な四天王好きだったというファン時代のことを聞くためインタビューを試みた。あくまで“一ファン”として語っているため、選手の敬称は省略させていただきます。ご了承ください。
構成/モバイルGスピリッツ編集部

――さて企画スタートにあたり、このコラムを担当することになったGスピリッツ編集部の村上記者に特別インタビューをしたいと思います。よろしくお願いします。
「よろしくお願いします」
――この企画は90年代に圧倒的な人気を博した全日本プロレスの“四天王時代”を振り返るモノだそうですが、村上さんは熱狂的な四天王マニアだったそうですね。
「今になって考えると恥ずかしくなるぐらいですけど、当時の全日本が心底好きでしたね」
――モバイルゴングのコラムで「プロレス大学があるなら全日本プロレス学部四天王プロレス専攻だった」なんて狂ったこと書いてましたよね?
「なに書いてんだ、オレ(苦笑)。まあ、でもそれだけ90年代の全日に魅了されていたんですよ。例えば『チャンピオンカーニバル』(以下チャンカー)を全戦観戦するのが僕の十代の夢だったぐらいですから(苦笑)。実際に97〜99年のチャンカーは半分ぐらいの大会の会場に行ってますからね。青春18切符とカプセルホテルには本当にお世話になりました」
――マニアというか、ほとんどキチガ…。
「(遮って)高校生の頃から日本武道館と後楽園ホールにはほぼ毎回通ってましたね。地方だと札幌中島体育センターや大阪府立体育会館、愛知県体育館、博多スターレーンにまで行きましたし、いざ記者になって取材として行ったときには懐かしかったぐらいですよ。ちなみに好きな会場は岡山武道館。日本武道館のミニチュア版みたいな感じなんですよね?ね?ね?」
――知らないッスよ、そんなこと。で、ズバリ、四天王プロレスの魅力とは何なんですか?
「うーん、やっぱり“気持ち”ですね」
――カウント2.99連発や垂直落下な技の応酬じゃなくて?
「違いますよ!確かに一般的に“四天王プロレス=危険な大技の応酬”みたいなニュアンスで使われることが多いですし、命を削るような激しい技をこれでもかと決め合うのも魅力の一つだと思うんですけど、それだけじゃなくて“あの人に勝ちたい”とか“コイツには絶対負けたくない”なんていう情念がリングの中心にあったんです。だから決して技の品評会にはなってなかったし、ファンとしても感情移入がしやすかったんだと思うんです」
――いいこと言いますねえ。
「そんなの四天王好きならみんな気付いてますよ。全ての戦いにそういう気持ちが見えましたから。特に当時の三沢と川田の戦いには、感情が弾け飛ぶような瞬間が何度もあって、その背景には高校時代からの先輩後輩というドラマがあったわけじゃないですか。当時の僕は思いきり川田に自分を重ねてましたからね。更に川田と田上にはライバルストーリーがあるし、田上と小橋は“エリートと雑草なのに同期”という切っても切れない関係がある。三沢と小橋は信頼関係があるからこそ生まれる激しいぶつかり合いを展開してましたし、もちろん三沢と田上、川田と小橋にも2人しかできない戦いがあったじゃないですか」
――因縁と試合内容の両輪が完璧に揃った時代だったと。
「そうなんです。しかも、そこに秋山や大森たち若手、さらにハンセンやウィリアムスなどのガイジン選手まで加わってくるわけですから、つまらないはずがありませんよ!」
――豪華でしたよねえ。マイクアピールの多い新日本に比べて、あの頃の全日本って「試合を見てくれ」というスタンスでしたけども、実は生々しい感情がリングに充満していて、仮にも爽やかとは言い切れなかったような気がするんですよ。
「今になって振り返ってみると、あの時代って選手としても一人の個人としてもみんなギリギリのバランスでやっていたんじゃないかと思うんですよね。ジャイアント馬場という絶対的な存在がいたからこそって部分も大きいはずだし、時代性やプロレス界の流れが神懸かり的なタイミングで一致したからこそ生まれたんじゃないかと僕は考えています」
――さすが四天王研究家。
「(冷たく)そんなんじゃないですよ。あともう1つ声を大にして言いたいのは、あの頃の全日本のリングは物凄い幅が広かったということ。激しい四天王プロレスだけじゃなくて、胡散臭い外国人選手が参戦したり、ファミリー軍団vs悪役商会といういつ果てることない抗争があったりと、プロレスという特殊なジャンルの魅力を最大限に見せてくれるリングだったんですよ。ファンも真剣に見るところと肩の力を抜いてみるところをしっかりと使い分けていたし、会場の雰囲気も良かったですから。百田男だとか永源少年とか雅央女とか、名物ファンが物凄い高レベルのヤジをとばしてましたからね。ここでカミングアウトしますけど、僕なんて百田男となぜか並んで『週刊ファイト』の記事写真に写ったことがありますから!小橋と一緒に握り拳を作って!」
――うわ〜、随分とイタいカミングアウトですねえ。でも、そう言われてみると、武藤さんの目指す“パッケージプロレス”を10年以上前に実現させていたような気もしますね。
「まあね」

 なぜか自分の手柄のように誇った村上記者。次回は底なしの四天王プロレスのさらなる深淵に突入します。




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