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第16回 三沢と川田と当時の僕(13)

 年が明けて97年。全日本には開国の風が吹き荒れた。馳浩の入団、馬場と大仁田の対談と大きな話題が年始から誌面を賑わせていた。
 そんな中、最強タッグ優勝の勢いに乗って、ウィリアムス&エース組からの世界タッグ王座奪取に成功した川田(パートナーは田上)は、充実したファイトを繰り広げていた。藤原喜明とのタッグながらも初対決を果たすと、ここで川田の首を狙い、一人の男が全日本マットに現れる。
 その男の名は高山善廣。前年のUインター神宮球場大会で川田に敗れた高山は、リベンジを果たすべくかつてUインターマットで接点のあったオブライトとのタッグで川田&田上組との対戦をアピールしたのである。新春シリーズでは三冠王者・三沢が小橋相手にタイトル防衛に成功。この試合も屈指の名勝負となったが、話題性という部分では川田も負けておらず、やはり対三沢路線が弱まったことがいい影響与えているように見えた。
 オブライト&高山組は確かに魅力的なチームであったが、U系のスタイルという怖さを持っていることと、それにより世界タッグという冠に相応しい試合になるのかという2点に注目が集まった。
 そんな緊張感の中で、川田と田上は横綱相撲を展開する。相手の土俵に乗った上で、全日本のスタイルに引きずり込み、圧倒的な内容で勝利したのだ。高山にとっては厳しく、だからこそ学ぶことの多い試合になっただろう。そして、全日本スタイルの奥深さを改めて見せつけた川田は、春の本場所チャンピオン・カーニバルに駒を進める。
 元Uインターの佐野、FMWのハヤブサも特別参戦し、華やかなシリーズとなったが、内容は例年以上に過酷なリーグ戦だった。
 ウィリアムスを相手にエキサイト・シリーズで三冠防衛を果たした三沢は、当時全日本の改革を訴えていた。そのために必要なのは鬼門と言われるチャンカーの優勝という称号。開幕戦ではオブライトをエルボーのラッシュで撃破し、幸先のいいスタートを切った。
 対する川田は初戦の本田多聞戦でいきなりわき腹を負傷。翌日にはハンセンのウエスタンラリアットの前に轟沈し、いきなり当落線上に追いやられてしまった。紙面を使ってかつての師匠であるWARの天龍が川田との対戦を熱望する発言をしており、精神的にも集中しきれなかったのかもしれない。川田にとっては逆風続きだった。
 小橋がこのシリーズでシングルでの三沢越えに成功。しかし、川田は今年も30分時間切れ引き分けに終わっている。かなりの焦りが生まれていたはずだ。失点3と後がない川田、首の負傷が悪化した三沢、無敗で前半戦を切り抜けた小橋と田上。まったく優勝争いが見えない中で、チャンカーは後半戦に進んでいく。




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