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第8回 立見席>リングサイド

 今回は三沢vs川田の物語(まさかこんなに長くなるとは自分でも思っていなかった…)をお休みして、プロレス会場について書いてみたい。
 小橋建太が復帰を果たす12・2日本武道館大会において、立見席が販売されることになった。番号指定と発表されたが、そう言われても普通はなかなかピンとこないかもしれない。
 これまでこのコラムで書いてきた名勝負の数々は僕が中学〜高校時代に行われたものだ。当時の僕は定期的なバイトをしていたわけでもないので、チケット代や専門誌&東スポの購入費を捻出するのも大変だった。高校時代は昼飯を抜いて親から支給された昼食代を貯めて観戦に行っていた。
 90年代の全日本には小中高生立見席があった。これで後楽園ホールと日本武道館の試合を1000円〜1500円で見ることが出来たのだ。もしも僕が全日本以外のファンになっていたら観戦回数も少なく、こんなコラムを書くこともなかっただろう。
 後楽園ホールなら南側最上段か、もしくは東西のバルコニーが立見のエリアになる。当時の四天王人気は凄まじく、毎回立見はいっぱいで、南側の階段に座らせることも多かった。当然場所争いもきつく、バルコニーの最前列で試合を見るためには、3〜5時間並ばないと無理だった。
 バルコニーは数時間立っていなければいけないという肉体的な苦しさを除けば、後楽園ホールの中でもっとも試合を見やすい場所だ。ハッキリ言って最前列よりも見やすい。選手の一挙手一投足が手に取るように分かるし、場外乱闘やグラウンドの攻防、打撃戦、どんなシチュエーションになっても、選手の動きが把握できる。もし、普段から後楽園ホールに行くことがあるのに、いまだあの場所で観戦したことがない人がいるなら、ぜひ試して欲しい。(ディファ有明や大阪府立体育会館第2競技場などの立ち見もオススメ)
 反対に武道館の立見は2階スタンド席の一番後ろだった。アリーナ席や1階スタンドに比べるとリングは小さく見えるのは仕方ないけれど、武道館という大会場の一番上から見下ろすのは、それはそれで壮観なものがある。リング上のファイトだけでなく、ファンの反応もしっかりと見える。ちょっとした声援が大きな渦となり、武道館を熱狂させるまでの盛り上がりにつながっていくのを視覚で確認できる機会は滅多にない。
 ちなみに当時の立見席も番号がふられていた。武道館の2階指定席の最上段がX列となるが、その振られた番号に対応した席の後ろのゾーンで観戦するという形。小橋の復帰戦が同じ形になるのかは分からないが、もし「一番後ろでの観戦なんて嫌だなぁ」なんて思う人は、考え方を変えて楽しんで欲しい。個人的にはアリーナ席よりも最上段で観戦した方が面白いんじゃないかと思っている。
 また、2階席しか取れなかった人は逆にラッキーだと思ってもいい。確かにリングから距離が出来てしまうが、2階席はA列〜X列まであるため、自分の席の後ろには沢山の観客がいることになる。自分の背後から大きな声援や拍手が起こると、臨場感が生まれて、リングに観客の意識が集中していく感覚を味わうことができるし、一番贅沢な場所だ。変な話、記者はアリーナ席の後方で試合を取材することになるが、僕は2階席で観戦できるファンがうらやましく感じることすらある。
 とにかくどんな席であろうと、たとえ最前列でも、立見席でも、その会場にいて、激闘を見たということがなにより大切。リングに上がる4人の選手も一番後ろの席まで伝わるような熱い試合をしてくれるはずだ。




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