コラムバックナンバー一覧

第12回 Gの魂

 Gスピリッツ第3号も発売され、現在は4号の制作中。個人的にもだいぶ月刊誌の制作に慣れてきた。創刊号の制作を始めてから4ヵ月近くの時間が経ったが、雑誌全体を見ても、かなり方向性が確立され、読者にその魅力が認知されてきたのではないかと思う。
 Gスピリッツの制作に関わっている人間で僕が一番『週刊ゴング』の遺伝子を持っていない人間だ。日本スポーツ出版社に所属していたのは10ヵ月ほど。ましてやあくまでもモバイルゴング担当で、取材した会見や選手のコメントが誌面に活かされることはあったし、記者やカメラマンと取材時の協力やプライベートでの関わりはあっても、基本的には別働隊だった。その前に所属していた格闘魂は3年近く従事していたわけだから、その時の経験の方が僕の礎になっているのは否定できない。
 だから『ゴングのスピリッツ』と言われても、正直ピンとこないのが素直な心境だ。個人的には10年以上ゴングを読んでいたが、創始者である竹内さんとちゃんと話したことすらないのだから。
 日本スポーツに入社した時点で、各記者の顔と名前こそ一致していたものの、ちゃんと話したことがある相手は、モバイル班以外だとごくごく一部を除いて皆無。同じ会社にいれば雑談することはあるし、挨拶も交わすようにもなったが、深くじっくりと話す機会は少なかった。変な話ではあるが、歴代編集長とはほとんど関わりが無く、僕が清水編集長や小佐野さんとちゃんと話すようになったのは、Gスピリッツに入ってからのことだったりする。
 自分としてはプロレスに関する知識や見識、経験は人並み以上にあると自負していたし、だからこそ実際にここまで記者としてやってこれたのだけれど、自分よりキャリアが遥かに長い清水さんや小佐野さんと話していると、これまで一度も聞いたことの無いような秘話が次々と出てきて、驚いてばかりいる。話している本人は「こんな話が面白いの?」と不思議がっていることもあるけれど、その時代時代に最前線で取材してきた記者だからこそ知っている雰囲気や空気感に触れられるのは本当に楽しい瞬間だ。
 今現在のプロレスだけではなく、過去の出来事や事件をしっかりと取り上げるのがGスピリッツの姿勢。しかし、ただの懐古主義になってしまってはいけない。古くからのファンとしては常識に感じるような事件でも、最近プロレスを見始めた人にとっては刺激的であることも多いだろうし、逆に最近のプロレスになんとなく苦手意識を持っている昭和時代からのファンに今のプロレスの面白さを理解するキッカケを与えることも可能になってくる。そういうサイクルが生まれれば、プロレス界にとってもいい影響が与えられるはず。Gスピリッツの編集部はいい感じでそのバランスが取れているが、そういう中で、最近は自分なりの役割が果たせればといいなと思うようになった。
 言ってみれば、今になってやっと僕はGの魂を感じ取り始めているのだろう。個人的には、形とか名前とかにこだわらず、ともかく丁寧に、そして誠実に、取材対象や読者と向き合って記事を書いていくのがそのスピリットだと考えている。そして、それこそ僕がこの4年半の記者生活で感じてきたこととピッタリと重なる。その姿勢さえ守っていけば表面的なことはどうだっていい。個人的にはプロレスというジャンル以外にも挑戦していきたいと考えているが、どんな分野や人間を扱うにしても、読者や取材対象としっかりと向き合っていくことは忘れずにいたい。

※というわけで、そんな魂が詰まったGスピリッツvol.4の制作もかなり進んできています。12月10日(月)の発売となりますのでお楽しみに!




<<Back  Next>>
コラムバックナンバー一覧トップ
(C)辰巳出版