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第23回 プロレスは世間を映す鏡と言いますが…

 ここ数回のコラムで書いた通り、僕は現在、Gスピリッツではなく、別の媒体の仕事を手伝っている。特にこの1週間は取材の連続で、ハッキリ言ってGスピリッツを立ち上げてから第5号までを振り返っても、一番忙しい状況だ。
 そんな日々の中で思い出すのが、記者になりたての頃の自分。「ああ、こんな風に緊張していたな」とか「こんな風に途方に暮れてたな」とか、つらくて逃げ出したくなっていたかつての自分の感覚が蘇ってくる。僕が身につけたと思っていたスキルが他分野では簡単に通じないことも分かったし、やる気もその分起きてきているし、新たな能力も備わってきているが、それと同様に自信も喪失したような気がする(苦笑)。
 なんとも言えない気持ちで仕事をこなしているが、そんな中、昨日は久しぶりにプロレスラーのインタビューを行った。誰にどんなインタビューをしたのかは発表できるようになったら発表したいと思うが、プロレスに関するインタビューがこんなに楽しいものなのかと正直自分でもビックリした。
 こんな風に例えればわかりやすいかもしれない。プロレスの試合がスタートすると、まずは手四つやロックアップで相手と組み合い、出方を探る動きをする。これを取材に例えると、プロレスラーや格闘家を対象にするなら、僕のテクニックが通用するし、相手の出方を察知し、すぐに次の攻撃や防御が頭に浮かんで、それを行動に移すことができる。
 しかし、他分野でこれまでまったく関わったことの無いような人を取材するとなると、いくら手四つに取ろうとしてもまったく反応してくれないし、組み合おうとしてもタイミングが合わない。ルールすら一致しないことすらある。ダラダラと時間が過ぎてしまい、リングアウトになってもいいから逃げ出したくなるほどだ。
 新日本と全日本ではスタイルが違うように、別のスタイルに簡単に順応できるほど世の中は甘くない。数をこなして、対処法を学ばなければならないのは、プロレスでも、一般社会でも同じだ。
 だから、僕が久々のレスラー取材で感じた喜びは、それこそ「総合格闘技に挑戦したら結果が残せず、仕方なくプロレスに戻ってきたら、物凄い声援を受けた」みたいな感じだった。
 若い女の子よりもプロレスラーの心境の方がシンクロしやすいなんて、29歳の男にとっていいことなんだか悪いことなんだか分からないが、一度プロレスの取材に戻ってみて、自分がどんなにプロレスが好きなのか、プロレスラーという人間に惹かれているのか、それが確認できた気がする。そういう行ったり来たりを繰り返しながら、記者としてもう一段ステップアップする、それが今現在の僕のリアルな目標だ。




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