第36回 祝!

“祝!”と言っても、僕が電撃結婚したとか、1億円の宝くじが当たったとかいうことはではない。そう、四天王と言えば……ベースボールマガジン社さんから四天王プロレス本(仮)の発売が決定したのだ。
 一応このコーナーを始める最初に「目指すは書籍化」なんて突拍子もないことは書いていたが、四天王プロレスに再びスポットが当たるのはとても喜ばしいこと。たぶん、このコラムの影響を受けた部分は微塵もないと思うが、“自称・四天王評論家”(もしくは“四天王プロレスに100万円以上注ぎ込んだ男”)とすれば嬉しいことではある。
 ただ、一言で『四天王プロレス』と言っても、物凄く幅が広いし、深さだってもちろんあるので、その切り口はとても難しい。これまでもGスピリッツで「四天王時代を扱ったらどうだろう」という話自体はなかったわけではないが、どういう切り口で当時を読み解くのか、そのテーマ付けが見出せないままここまで来ているというのが正直なところだ。その部分では週刊プロレスさんのお手並み拝見といったところだろう。
 週刊プロレスと四天王と言えば、当時の全日本を担当してた市瀬記者の名前が思い浮かぶ。僕個人が一番影響を受けたプロレス記者を挙げるとすれば、この市瀬記者になるだろう(元ゴングの皆さん、すいません…)。基本的に僕はプロレス記者の文章に影響を受けた部分が少なく、どちらかというと好きな作家やアーティストから文章の書き方や言葉の選び方を学んできたと思っているが、市瀬記者だけは別だ。
 先日発売された『週プロ回顧録』に掲載されていた当時の記事を読んで、改めてうまいなあと感心させられた。僕がNOAHに帯同している時に苦労し、同時に面白いと感じた『話題のないところからテーマを見つけること』を高いレベルで実現していた市瀬記者。個人的に面識はないし、今後も話す機会はないと思うが、時間がある時に改めて当時の記事を読み直したいと思う。そして、可能であれば、今回の企画本でもその文章を読んでみたい。
 話が逸れてしまった。四天王プロレスの切り取り方。これは本当に難しいと思う。「当時は凄かった」「凄まじい試合をしてた」と書くのは簡単だし、僕からしても「それはそうだよ」という感じになる。どういう風に凄かったのかとか、脇役がどういう役割を果たしていたのかとか、外国人選手(一流、二流も含めて)、ジュニア戦線など総合的に描かないと、本当の意味での空気感は表せないような気がする。四天王のファイト=四天王プロレスではないからだ。
 当然、四天王プロレスの功罪にも踏み込まなきゃいけない。このことについては僕もこのコラムで書いたが(詳しくはこちらへ!)、四天王の戦いは間違っていなくても、その戦いがキッカケにプロレスが大きく変わってしまったことは否定できない。それはいいことでもあるけれど、悪いことでもある。それこそ、これがプロレス記者としての僕個人における現在進行形のテーマだと言えるかもしれない。その議論をちゃんと展開し、明確な答えを出し、なおかつファンとして見て納得のできる文章を僕は見たことがない。選手たちはどういう気持ちで試合をやっていたのか?今、それを振り返ってどう思うのか?他団体の選手はどんな風に感じていたのか?そんな風に検証していくのはかなり難しいことだが、とても面白いテーマだし、それをプロレスマスコミ全体で論議しなきゃいけない時期にもなってきていると思う。
 今、四天王時代の映像を見ようと思ってもなかなか触れることができない。小橋建太の記念DVDか、日テレ関連の動画サイト、G+のプロレスクラシック(さらに古い映像が中心)ぐらいだろう。まったく見たことがないファンにもあの熱が感じ取れるような本にしてもらえたらと心から願っている。

※もし、どなたか関係者の方が読んでいらっしゃったら、勝手に盛り上がってしまい、誠に申し訳ありません。もちろん「俺にも書かせろ」なんて売り込みでもありませんので、あしからず。週刊プロレスさんでは四天王時代のベストバウトを募集しているそうなので、このコラムを読んでいる皆さんもぜひ投票してください。ちなみに僕のベストバウトは三沢vs川田(1994年6月3日/日本武道館)です(99年大阪もいい!)。小橋vsウィリアムス(豊橋)や小橋vs田上(後楽園)、川田vsオブライト(武道館)も捨てがたいし、なにげに秋山&大森vs小川&菊地(後楽園)あたりもいいんだよなぁ……。そろそろこのコラムでも何かしらの特別企画をやりたいと思っておりますので、お楽しみに。




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[終了]オレだけの四天王プロレストップ
(C)辰巳出版