第38回 三沢と川田と当時の僕(26)

『98’世界最強タッグ決定リーグ戦』の出場チームは三沢光晴&小川良成、川田利明&田上明、小橋建太&秋山準、スタン・ハンセン&ベイダー、ジョニー・エース&バート・ガン、ゲーリー・オブライト&ジャイアント・キマラ、ザ・ヘッドハンターズ、大森隆男&高山善廣の8チームだった。ベイダーやガンの参戦により、豪華なメンバーが揃ったが、どのチームもコンビネーションに不安を持っており、やはり本命は川田&田上の世界タッグ王者組と目されていた。
 だが、決勝戦に勝ち残ったのは小橋&秋山組とハンセン&ベイダー組。川田組はこの両チームに敗北を喫し、3位に終わる。結局、小橋が剛腕を振り抜いて逆転勝利を呼び込み、ハンセンをピンフォール。バーニングの勢いが全日本マットを包み込む結果になった。小橋はこの年のプロレス大賞MVPを受賞。三沢との三冠戦はベストバウトにも選ばれている。
 バーニングを始動させたことによって一気に流れを掴んだ小橋。小川とのコンビをスタートさせ、結果にはまだ結びつかないでいたが、少しずつ手応えを掴み始めた三沢。この2人が完全に99年の全日本マットの中心になることは明白だった。蚊帳の外に置かれた川田だったが、自分の心情を明かすことなく、ただただ無言を貫いていた。ファンとすれば、一体何を考えているのかまったく見えてこず、正直乗れない存在になっていたのは否めない。
 そして、新春――。川田が三沢の持つ三冠王座に挑戦することが決定した。三沢としては東京ドームのリベンジマッチとなる。奇しくも1月2日の新春開幕戦、ジャイアント馬場が体調不良で欠場する中、三沢がリング上で新年の挨拶を行い、5・2東京ドーム大会の開催を発表した。俄然、熱を帯びるリング上。再び三沢と川田の三冠戦に注目が集まるかと思われたが、このシリーズ序盤の主役にはシングル対決が決まった小橋とベイダーが躍り出る。最強タッグ優勝という勢いのままに世界タッグ王座へと挑戦した小橋と秋山は川田&田上組からベルトを奪取。しかし、シングル決戦ではベイダーが勝利し、三冠挑戦まで口にした。
 大きな流れが生まれる中でも、川田は一言も自分の思いを発しなかった。対する三沢は川田に対して厳しいコメントを残しており、「感じるモノがなかったから、三冠戦は最後」とまで言い切っている。
 時代は大きく動いていた。橋本vs小川のセメントマッチが巻き起こり、総合格闘技という波も押し寄せていた。後にプロレス界に大きな影響を与える闘龍門の逆上陸も迫っていた。言葉ではなく、リング上での戦いで全てを発散しようとしている川田を見て、僕はいてもたってもいられず、三冠戦が行われる大阪府立体育会館に行くため、深夜バスに飛び乗った。




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[終了]オレだけの四天王プロレストップ
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