第41回 四天王プロレス本発売!

 ベースボールマガジン社さんからとうとう『四天王プロレスFILE』(定価1000円)が発売された。今回はこの本を読んだ自分なりの感想を書いてみたい。(一応断っておくと、この文章はあくまでも僕が自称・四天王マニアとして勝手に書いたものなので、他媒体の姿勢を否定したり、非難したりするような他意はありません。あらかじめご了承ください)

 全体を通して感じたのは、『四天王プロレス』という言葉を定義することの難しさ。UWFのようにプロレスという分野自体を根本から覆すようなムーブメントではなく、あくまでもプロレスのルールに準ずる形で、しかも少しずつ構築されていった当時の戦いを、単純に定義することはとても難しい。ある人は三沢vs小橋や三沢vs川田が=四天王プロレスだと言うかもしれないし、外国人選手や前座も含めて四天王プロレスだという意見だってあるかもしれない。スタイル論ではなく、単純に日本人選手のトップが4人だったという事実を切り取って四天王プロレスだと言ったっていい。やってる選手も、取材していた記者も、観戦に訪れていたファンも、それぞれがそれぞれに思い入れを持っているから、それを1つの形に当てはめ、全てに1つの根幹を通すのは至難の業なのかもしれない。
 例えば、本当にバカみたいに四天王たちの戦いを見てきた僕だが、週プロ読者が選んだベストバウト5試合のうち、僕の中でランキングを付けるとして上位に入るのは1試合だけだ。三沢vs小橋に対する評価が高いが、僕の中では四天王のカラミの中ではあまり好きな戦いではなかった。それは僕の中にある『四天王プロレス』の定義が、他の人とずれているからだろう。そんな風に、それぞれの中で自分なりの意見があるんじゃないかと思う。
 その中で、やはり当時、最前線で取材していた市瀬記者の巻頭コラムと三沢光晴インタビューは秀逸だった。『四天王プロレス』という言葉が一人歩きしている現在だが、市瀬記者は皮膚感覚で当時の雰囲気を掴んでいるんだなというのがヒシヒシと伝わってきた。
 当時、どんな思いを抱いていたのか?今、振り返ってどう感じているのか?四天王プロレスの功罪とは?過去・現在・未来、それらの問いに対する答えを三沢は真摯に語っている(詳しいことは実際に本を読んでほしい)。ある意味、漠然としてとらえどころのない『四天王プロレス』について聞き出すのは、インタビュアーとしてとても難しいことだと思う。同じプロレス記者としてそんな苦労が感じられた。
 もし、僕が四天王プロレスに関する本を作るとすれば、そりゃ、あの頃は素晴らしかった、凄かったというだけで本を構成したい気持ちもあるけれど、やはり1人の記者としては『功罪』の『罪』についても触れたい。とても切り取り方が難しい部分ではあるが、どうやってあの戦いが形成されていったのか?内部で批判的な意見がなかったのか?他団体、特に新日本やU系の選手はどう思っていたのか?ジャイアント馬場さんの本音は?このまま突き進んでいったらどうなるのだろうという危惧はなかったのか?そういう話がファンとしても知りたいし、記者としても聞いてみたい。
 あの頃は意外と四天王関連本&雑誌が発売されていた。馬場さんや四天王+秋山のインタビューは本当に何度も読んだ記憶がある。ただ、時代が過ぎた後、彼らの戦いはある意味、放置され、ほったらかしにされてきてしまった。様々な問題があるのかもしれないが、映像もほとんどDVD化されておらず、ただただ適当に『四天王プロレス』という言葉だけが使い古されてしまったような気がする。
 そんな状況で、この四天王本が発売されたのはとても意義のあることだと思う。これをキッカケに、いろんな場所で当時の戦いが語られ、なにかしらの答えを導き出すことができれば、今後のプロレスにも活きてくるのではないだろうか。大それた意見に思われるかもしれない。だが、それこそ森嶋や力皇、丸藤、KENTAたちの戦いにはどう見たって、あの激闘の影響……いや、語弊を気にせず書くならば“呪縛”がある。あの頃を振り返り、今後のことを含めて考えていくのは、選手たちだけじゃなく、マスコミやファンにも必要とされることだと思う。
 色々とゴタクを並べてしまった。この四天王本を手に取った時、思い出の詰まった古いアルバムを開くような気分……なんて言い回しはカッコつけ過ぎのような気がするけれど、とても懐かしい気持ちになった。あの時代を知っている人も、知らない人もぜひ読んでもらいたい。




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[終了]オレだけの四天王プロレストップ
(C)辰巳出版